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忘れかけていた
私の夢が叶う場所
定年を迎えて
夫が家にいるようになった。
これまで一緒に
できなかったことが、
少しずつできるようになる。
——それは、いいことのはずなのに。

少し遅めの朝食。
平日のお昼に、ふらっと出かける買い物。
そんな時間が、どこか新鮮で、
夫も楽しそうにしている。
でもふと、思うことがある。
——私の時間は
どこで過ごせばいいんだろう。
リビングにいても、落ち着かない。
でも、外に行く理由もない。
お互い、悪くないのに
なんとなく、気を使っている。
その距離が、少しだけ整った。

01
「ちょっと、アトリエで過ごしてくるね」
私は、庭のアトリエへ。
夫は、家の中で自分の時間を過ごす。
私は学生の頃、服飾を学んでいた。
本当は、手に職をつけて続けていくはずだった。
でも、現実は違った。
3人の子育て。
親の介護。
そして、孫の世話。
ミシンを出す時間も、
針を持つ余白も、どこにもなかった。
——気づけば、ここまで来ていた。
02
これからの20年。
私の時間が、やっと戻ってくる。
やりたかったことが、
ゆっくりと
思い出されていく。
同じ家にいながら、
それぞれの時間が流れている。
無理に合わせなくていい。
でも、離れているわけでもない。
ただ、それが心地いい。
03
一緒にいるために、
それぞれの場所がある。
そのことが、
暮らしをやさしく整えてくれる。

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